Asahi Transnational

    
 
2026-02-09

[NDT] PCBA品質を極める非破壊検査:X線CTとAI連携が実現する次世代QA戦略

【基礎編】PCBA検査の死角をなくすX線CT検査:
AOIでは見えないBGAのHiPをどう捉えるか?

PCBアセンブリ(PCBA)とは?

PCBアセンブリ(PCBA)とは、製造されたプリント基板(PCB)上に、IC、抵抗、コンデンサなどのさまざまな電子部品を実装し、はんだ付けするプロセスのことです。この工程を経て、基板は設計仕様に基づいた完全な電子デバイスとして機能する回路アセンブリへと変化し、物理的なプラットフォームおよび電力供給ネットワークとしての役割を果たすようになります。

標準的なPCBA検査および品質管理手法

PCBA品質管理は、特定の要件に応じてさまざまな方法で実施されています。

  • 自動光学検査 (AOI): 高解像度カメラ、光源、画像処理ソフトウェアで構成されています。検査対象物が検査ベイを通過する際、複数の角度から画像を撮影するように設計されたこれらのカメラは、照明システムが特定の領域を照らしている間にスナップショットを撮影します。その後、装置のソフトウェアがこれらの画像を処理し、分析を行います。このシステムは、高解像度機能を活かしてリフロー後の検査に最適で、大量生産ラインにも非常に適しています。
  • はんだペースト検査 (SPI): プリント基板(PCB)のはんだペースト印刷段階で使用される自動品質管理プロセスです。このステップは、ペーストがステンシルに印刷された直後に行われ、ピックアンドプレース工程(部品実装)が始まる前に実施する必要があります。その主な目的は、生産ラインのごく初期段階で、はんだ量不足や過剰、印刷位置ずれなどの欠陥を防止することです。

進化するPCBA構造とNDT(非破壊検査)の必要性

現在、PCBAは小型化が進み、多層化によって複雑さが増しています 。その結果、従来の外観検査だけでは不十分となっています。

  • 検出困難な欠陥: ヘッド・イン・ピロー(HiP)、マイクロクラック、内部短絡、ビアのめっき欠陥(空隙)などの欠陥が製造中に発生した場合、それらはチップの深部やコンポーネントの下に位置することが多く、AOI(自動光学検査)カメラでは検出が困難です。
  • 従来の検査の限界: わずかな欠陥でも製品全体の故障や使用不能につながるため、NDTは品質保証において不可欠な役割を担っています。
  • X線検査の利点: X線検査技術を用いることで、BGAチップの下にあるはんだ接合部など、AOIカメラが届かない内部構造を透過して確認でき、生産ラインの信頼性を高めることができます。
  • CTスキャンの利点: CTスキャンで3D画像を生成することで、はんだ内部の亀裂やボイド(空隙)の形成を検出し、長期的な信頼性に問題がないことを保証します。

ヘッド・イン・ピロー (HiP) の理解

ヘッド・イン・ピロー(HiP)は、チップに付着しているはんだボールと基板上のはんだペーストが接触しているものの、融合して均質な一つの接合部になりきれていないはんだ付け不良のことです。

特徴: 不良箇所がコンポーネント本体の下に隠れているため、外観からは見えません 。現代のPCBアセンブリで最も一般的な欠陥の一つです。

主な原因:

  • ダイナミック・ワーページ(熱歪み): リフロー炉の温度上昇に伴い、BGAパッケージやチップが反り、はんだボールがペーストから離れてしまうことで、冷却時に一体化しなくなります。
  • 酸化: はんだボール表面の酸化膜や、不適切な加熱によるフラックスの劣化が原因で、表面が十分に清浄されず、融合が妨げられます。
  • 不適切なリフロープロファイル: 高温リフロープロセスによって部品がねじれ、ボールとペーストが分離してしまうことがあります。

X線検査装置ではリフローシミュレーターを装置内のステージに装着してはんだ溶着の様子をライブでX線透視観察が可能な機種もございます。タイでのご導入についてはどうぞご確認ください。
 
Reflow Simulator

Comet Yxlon社のX線検査装置へ装着したリフローシミュレーター:
はんだ溶着の様子をライブでX線透視観察

PCBA検査に不可欠なNDT技術

X線とCTスキャンによる隠れた接合部の検査方法

PCBアセンブリ工程における組み立て後の品質検査では、AOIカメラでは検出できないBGAの裏面や隠れたはんだ接合部の検査が行われます。HiPなどの欠陥は、非破壊検査(NDT)ツールを用いることで検出できます。

  • X線検査 (X-ray Inspection): 斜めビュー(傾斜角度)を利用して、はんだボールの形状異常を確認します 。正常な接合部では金属密度が連続して見えますが、HiPの場合は、わずかな隙間や低密度の酸化層が「かすかな分離」として現れたり、ボールが潰れずにペーストの上に乗っているだけの状態で観察されます。
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  • CTスキャン (CT Scan): CTスキャンのバーチャルスライシングにより、3Dモデルを任意の深さ(Z軸)でソフトウェア上で切断して観察できます 。これによりBGAボールとPCBパッドの正確な界面を断面で確認できます。また、2D X線では部品の重なりで見逃されがちな、はんだ接合内部のボイドやマイクロクラックも検出可能です。

基礎編 結論

PCBアセンブリプロセスにおける様々な欠陥の検出には、非破壊検査(NDT)と標準的な検査手法を統合する必要があります。このアプローチにより、欠陥率が大幅に低減し、異常の迅速なスクリーニングが可能になります。最終的には、欠陥の背後にあるメカニズムへの深い理解と適切なNDT技術の選択を組み合わせることが、電子製品の最高レベルの品質と信頼性を確保するための鍵となります。

 

【応用編】Comet Yxlonが実現するスマートファクトリー:ProLoopとInsights AIによるPCBA検査工程の自動化とDX

前半部分の記事の通り、AOI(光学検査)は表面の欠陥を高速で捉えますが、BGAの下部など「隠れた接合部」の内側までは見ることができません。一方で、X線CT検査は「内部の真実」を映し出しますが、全箇所をCTスキャンするには時間がかかります。
Comet Yxlonはこの二つのジレンマを、ProLoopとInsightsというソフトウェア連携によって解消し、検査工程を「知能化」します。

AOIとオフラインX線CTの「知的な補完関係」を築くProLoop

ProLoopは、AOIとオフラインX線CT検査装置を繋ぐ司令塔の役割です。

  • 「予兆」を「確証」へ: 例えばAOIがBGAパッケージのわずかな「傾き」を検知したとき、ProLoopはその座標情報を即座にX線装置へ転送します。X線はピンポイントでその内部を透視し、それが致命的なHiP(枕頭現象)なのか、許容範囲内なのかを即座に判定します。
  • 虚偽不良判定(False Failure)の自動排除: AOIが「不良の疑い」と判定したグレーゾーンの箇所だけを、ProLoop経由でX線による精密検査に回します。これにより、全数CTスキャンを行う時間的ロスを省きつつ、人間による目視確認というアナログな工程を排除し、ラインの直行率を飛躍的に高めます。

AI自動判定で「結論」を導き出すInsights

ProLoopが運んできた「疑わしい箇所」の画像に対し、最終的な審判を下すのがAI解析パッケージInsightsです。

  • AI自動判定 (ADR): 人間の目では判断が分かれるボイド(気泡)やヘッド・イン・ピロー(HiP)、濡れ不良(Non-Wet)などの欠陥を、AIがディープラーニングを用いて自動判定します。
  • 検査スピードの向上: 3D可視化解析ソフト「Dragonfly」の最新版が統合されており、GPUアクセラレーションにより解析速度が従来比で最大100倍に高速化されています。また、ラミノグラフィ(micro3Dslice)とAIの連携により、多層基板の高速自動判定が可能です。
  • 3Dメトロロジー(自動測定): 「Void Insights」などのパッケージにより、2D/3Dでのボイド自動計算が可能です。また、1µm未満のサブミクロンレベルの微細欠陥もAIが識別・測定します。
  • 直感的な操作性: 最新の「Geminy UI」に対応しており、高度なAI解析パッケージ(Void Insights, Review Insights)を直感的に操作できる環境が整っています。

応用編 結論

ハードとソフトの融合がもたらす「次世代の品質保証」

「見えないものが見える」Comet YxlonのX線CT検査装置に、このインテリジェントなソフトウェア群を加えることで、PCBA工場は単なる「欠陥の検出」を超え、「不良を出さない製造プロセス」へと進化します。

  • 検査精度の極大化: 光学(外観)とX線(内部)のデータを統合した完全な品質管理。
  • オペレーションの無人化: AIによる自動判定とProLoopによる自動連携で、人的ミスを排除。
  • ダウンタイムの最小化: 異常の予兆を捉え、前工程へフィードバックすることで不良の連鎖を断つ。

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Cheetah EVOは信頼性の高い高品質な検査技術と費用対効果、限られたスペースで最大の検査効率を求めるPCBA製造や研究施設にとって最適なX線CT検査装置です。Cheetah EVOに関するより詳細な情報については、こちらから製品カタログをダウンロードいただけます。

ビジネスに効果的で手頃な非破壊検査(NDT)サービスや製品をお探しでしたら、ぜひご相談ください。詳細についてご案内いたします。

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