[CASTING SIMULATION] VGSTUDIO MAXを使用したCTデータとADSTEFAN欠陥予測ツール(ADPT)のインターフェース
本記事の内容は、2022年7月19日バンコク・マリオットホテル・スクンビットにてHexagon Manufacturing Intelligence社主催により開催されたカンファレンス内での弊社によるプレゼンテーションの一部を抜粋したものです。
要約
- CTスキャンによる3Dデータはボリュームグラフィックス社のCT解析および可視化ソフトウェアであるVGSTUDIO MAXを使用してさらなる活用ができます。
- VGSTUDIO MAXの強力な表面定義アルゴリズムは、CTスキャンシステムから高品質で有用な3Dデータをエクスポートすることに役立ちます。
- VGSTUDIO MAXはCT検査データと鋳造CAEやQ-DASなど他のソフトウェアとのインターフェースとなります。
ADSTEFAN 欠陥予測ツール (ADPT)とは?
ADSTEFANは新山教授および安斎教授を中心に東北大学にて発足した産学協同プロジェクトから開発された鋳造シミュレーションソフトウェアです。新山教授による温度勾配と冷却速度からなるパラメータ(Niyama Criterion) は世界的にも有名で他の多くのCAEソフトウェアにも実装されています。現在ADSTEFANは日立産業制御ソリューションズ株式会社のサポートで、特に日本で多くのユーザーに広く利用されています。
ADSTEFANが搭載する⽋陥予測ツール(ADPT, Advanced Defect Prediction Tool)は、実際の鋳造⽋陥情報とシミュレーション解析結果を”教師データ”とし、機械学習を⽤いて⽋陥予測データベースを構築することで、より現場の実態に則した⽋陥発⽣率の予測を可能とする機能です。
予測モデルでは実⽋陥情報と紐づいた指標を⾃動⽣成するため、従来課題であった”合わせ込み”作業の負荷を低減でき、また新規⽅案や新規製品に対しても精度良い予測が期待できます。
ADPTを使用する前にCTやX線などの検査システムによって得られた実際の鋳造欠陥情報を準備する必要があります。必要な情報は、欠陥の種類と場所ごとの発生率です。欠陥情報登録工程は手動でメッシュ変更する必要があるため、特にメッシュモデルの奥深くに存在する引け巣欠陥などの登録は少々時間を要するプロセスです。
CTデータを利用したADSTEFAN ADPTの入力
1. VGSTUDIO MAXによる各種CTデータの抽出:
CTスキャンにより得られた3DデータはVGSTUDIO MAXの持つサブボクセル精度で製品の境界線を定義する強力な表面定義アルゴリズムにより3Dデータ品質を維持したままエクスポートできます。3Dデータのエクスポートは、製品の形状だけでなく、内部欠陥のみを対象にしても実行できます。エクスポートされた3Dデータは、3Dスキャナーにより取得された点群データからのサーフェスモデルとは異なり、ソリッドの3Dモデルです。
2. 3Dデータエクスポート前の座標の修正:
3Dデータをエクスポートする前に座標を調整することをお勧めします。例えば、鋳造モデルでは重力方向を座標軸の1つに合わせ、他のもう1つの軸を流入方向に合わせる必要があります。VGSTUDIO MAXには座標合わせのためのさまざまな方法が実装されています。
3. 欠陥3DデータをADSTEFANにインポート:
VGSTUDIO MAXによりSTLフォーマットでエクスポートされた欠陥3Dデータは、鋳造素材モデルデータと一緒にADSTEFANにインポートできます。それぞれのSTLデータを使用して異なるメッシュを簡単に生成できるため、メッシュ修正の時間を大幅に節約できます。その後ADSTEFAN ADPTが実欠陥情報を学習するためには、欠陥のタイプとその発生率を欠陥メッシュに登録する必要があります。ただしこの工程はデータが準備されていれば時間を要する作業ではありません。
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