[NDT] 製品情報:ハイエンド産業用X線CT検査装置「FF85 CT」で大型・高密度部品の非破壊検査
自動車、航空宇宙、そして急成長するE-Mobility(EV)分野において、検査対象となる部品の大型化や複雑化が進む中、研究開発や品質保証の現場では、極小サイズの欠陥を捉える「高分解能」と、厚肉・高密度材料を透過する「高エネルギー」の両立が求められています。
Comet Yxlonの「FF85 CT」は、これらの厳しい要求に応えるために開発されたハイエンド産業用X線CT検査装置です。最大の特長である「デュアルチューブ&デュアルディテクタ構成」により、微細な電子部品から最大1,000kgの超大型部品まで、1台のシステムで比類のない精度と汎用性を提供します。
本記事では、本格的な導入をご検討中のお客様に向けて、FF85 CTの卓越したハードウェア性能と、スキャン効率を飛躍的に高める先進のソフトウェアソリューションについて解説します。
FF85 CTを特徴づける卓越したハードウェア設計
FF85 CTは、ハイエンド機にふさわしい堅牢かつ柔軟なシステムアーキテクチャを採用しています。
1台で幅広い検査タスクを網羅する「デュアルチューブ&デュアルディテクタ」構成
FF85 CTは、検査目的に応じて2つのX線管(チューブ)と2つの検出器(ディテクタ)を搭載・選択できる独自のシステムを構築可能です。
- X線管の組み合わせ: 高密度・大型部品の透過に威力を発揮する最大600kVのミニフォーカスX線管と、小型部品の微細構造を鮮明に捉える最大300kVのマイクロフォーカスX線管(または独自開発の450kVメソフォーカスX線管など)を搭載可能。これらは同一のCTシーケンス内でシームレスに切り替えることができ、マクロからマイクロまで広範なスキャン領域をカバーします。
- 検出器の組み合わせ: 広い視野と高速スキャンを実現する高エネルギー対応の大面積フラットパネルディテクタ(DDA)と、後述する独自のラインディテクタアレイ(LDA)を併用することで、2D透視、3Dコーンビーム、ファンビームCTの切り替えをスムーズに行い、部品に合わせた最適な検査プロセスを構築できます。
散乱線を極限まで低減する独自ラインディテクタ「CTScan 3」
厚肉の金属部品や大型部品のCTスキャンにおいて最大の障害となるのが「散乱線」です。Comet Yxlonが特別に開発したラインディテクタ「CTScan 3」は、最大600kVの管電圧に対応し、不要な散乱線を物理的に大幅に削減します。
ピクセルピッチ254μm、低ノイズエレクトロニクス、高効率シンチレータの組み合わせにより、これまでにないS/N比とダイナミックレンジを実現。大型鋳造品や高密度部品の内部構造を、ノイズのないクリアな画像で可視化するための決定版ソリューションです。
最大1,000kgの大型部品に対応し、精度を担保する「グラナイトベース」
大型構成のFF85 CTでは、最大直径1,800mm、高さ3,000mm、重量1,000kgという桁違いの超大型部品(EVのバッテリーパック全体など)の搭載が可能です。
これほどの重量物を高精度にスキャンし続けるため、マニピュレータの基盤には極めて堅牢なグラナイト(花崗岩)ベースを採用しています。温度変化による熱膨張を最小限に抑え、長期間の使用でも反りや歪みが発生しないため、最大7軸の精密なマニピュレーションと高い寸法測定精度を恒久的に維持します。
検査効率と画質を飛躍的に高めるソフトウェア・スイート
最高クラスのハードウェア性能を最大限に引き出すため、FF85 CTには「Clarity(鮮明化)」「Efficiency(効率化)」「Insights(洞察)」の3つの柱からなる強力なソフトウェアスイートが用意されています。
ソフトウェアによる高度な画質最適化ツール
ハードウェアだけでは補いきれない物理的現象に対し、高度なアルゴリズムで画質をクリアにします。
- ScatterFix 2.0: コーンビームCTスキャン時の散乱線をソフトウェア処理で低減し、最適な表面形状の抽出をサポートします。
- BHC(ビームハードニング補正): 均質な材料内に現れる不要なグレー値の勾配(カップ状アーチファクト)を補正し、信頼性の高いポロシティ(空隙)解析を実現します。
- MAR(金属アーチファクト低減): 樹脂と金属が混在する複合部品などで発生する、低密度材料を覆い隠してしまう強烈なメタルアーチファクトを効果的に低減します。
生産性を最大化する「Vista」パッケージと高度なスキャン軌道
スキャン時間の短縮と高画質化を両立するオプションパッケージ「Vista」シリーズを利用可能です。
- HeliExtend / ScanExtend: 縦に長い部品(長尺部品)の検査時に発生しやすいコーンビームアーチファクトを回避するヘリカルスキャンや、水平・垂直方向の視野(FOV)拡張機能により、大型部品の部分的または全体スキャンを柔軟に行えます。
- ZoomScan (Vista X搭載): CTスキャンの回転中、自動衝突防止機能(SmartGuard)と連動して部品の複雑な輪郭ギリギリまでX線源を動的に接近させ続けることで、従来の標準スキャン(QualityScan)と比較して最大10倍もの圧倒的な解像度向上を実現します。大型部品の特定領域でも極めて高精細な観察が可能です。
- FlexCenter: 測定対象品を毎回苦労して回転軸の中心(ターンテーブルの中央)にぴったりと設置し直す必要はありません。画面上で仮想回転軸を設定するだけで、部品の関心領域が中心となるようにターンテーブル自体が動きながら回転するため、重い部品の再配置の手間を省き、効率的かつ正確にスキャンできます。
AIベースの高度解析ソフトウェア「Dragonfly 3D World」
取得した高品質なボリュームデータから、製品の価値あるインサイトを引き出すためのAI駆動型解析ツールです。
何百万もの個々の気孔や粒子の自動セグメンテーション、カラーコーディングを用いた肉厚分布の可視化、設計データ(STL)と実際の部品との偏差・反りの比較分析などを、深層学習(ディープラーニング)を用いて高速かつ直感的に実行します。
直感的な操作と自動化を実現する「Geminy」インターフェース
いかに高機能なCTシステムであっても、操作が煩雑であれば現場のボトルネックとなります。FF85 CTは、直感的なタッチスクリーン操作が可能なシステムユーザーインターフェース「Geminy」を採用しています。
グラフィカルなアイコンと豊富なウィザード(SmartGuardによる自動衝突防止機能など)により、オペレーターの熟練度に関わらず、安全かつ容易に複雑なスキャン設定が可能です。また、「バッチマネージャー」機能により、複数の部品をロードして一括でスキャンを自動実行するなど、検査プロセスのインライン化や自動化(Efficiency)にも柔軟に対応します。
FF85 CTの製品紹介動画
FF85 CTの主な適用分野
その圧倒的な対応力により、FF85 CTは以下のような多岐にわたる産業・対象物の非破壊検査、寸法測定、故障解析、リバースエンジニアリングで活躍します。
- 自動車・E-Mobility: EVバッテリーセル・モジュール・システム全体の検査、大型アルミ鋳造部品(ギガキャストなど)
- 航空宇宙・金属加工: タービンブレード、鉄鋼・超合金コンポーネント、複雑な積層造形(3Dプリント)パーツ
- エレクトロニクス・複合材料: 複雑なメカトロニクスモジュール、繊維強化プラスチック(CFRP/GFRP)、大型樹脂射出成形品
- 科学・研究: 地質学、古生物学、生物学のサンプル解析、文化財のデジタル化
まとめ
Comet Yxlonの「FF85 CT」は、単なる大型部品用CTにとどまらず、デュアルチューブ&デュアルディテクタ構成によってあらゆるスケール・材質の検査を極めて高い精度で完遂する「究極の汎用性」を持ったハイエンド・ソリューションです。
研究開発における限界を押し広げ、製造現場の品質保証プロセスを次世代のレベルへと引き上げるFF85 CT。貴社の抱える高度な検査課題に対するソリューションです。
製品のより詳細な仕様、カスタマイズ構成、あるいはお客様のサンプルを用いたスキャンテストのご相談などにつきましては、お気軽にお問い合わせください。
製品カタログのダウンロード
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